地域で何か新しいことをするには、よそ者と若者とバカ者が必要だと言われているんです。とくに歴史の古い町だと、しがらみが多くて内側からはなかなか変えられない。よその誰かが、バカと言われながら、タフに進めていくしかないんですよね。
高山列車で山を登っている。ふと振り返ると、背後に広大な土地が広がっている。そのなんと豊かなこと! このまま一本道を登るか。豊かな大地に降りていくか。降りていこう、と私は思った。上がる、下がるではない。方向を変えるんだ。
前へ前への世の中ですが、私は、もうダメだわと思ったときに後ろを向いたら、過去に自分の歩いてきた道が見え、この道のままでいいんだと元気をもらいました。いい思い出だけを想像力で膨らませて輝かせ、活力に変えるようにしています。
歴史の中で培われた美意識を、今の自分の生活に採り入れてみること。グローバル化の中で忘れかけている感性を、新鮮な感動として呼吸すること。今、ファッションに限らず「日本の眼」で見ることが、日々の生活を豊かに変える一つの方法だと信じています。
「だまされていた 」といつて平気でいられる国民なら 、おそらく今後も何度でもだまされるだろう 。いや 、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである 。一度だまされたら 、二度とだまされまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない 。